それぞれの症状と要因

1. 左側の「股関節痛」

体を左右で比べた場合、左半身は歩行時発生するねじれ波を吸収したり、無害化してスムーズな歩行を助けています。

ですから、左足に外反母趾が多いのです。外反母趾があると正しく歩けないため、足先が外方向へ流れる「ねじれ歩行」をしてしまいます。このねじれ歩行のストレスが股関節にまでおよび、大腿骨の骨頭部が正しい位置からずれ、炎症と共に痛みが起こるのです。このような股関節の痛みは、「過剰なねじれ」によって発生する場合が多いのです。


中足関節が弛んでいる足 左足首が弛んでいる図 左足が外方向に流れ過ぎた結果


2. 右側の「股関節痛」

痛みがお尻からももにかけて走る	一方、右半身は歩行時発生する衝撃波を吸収したり、無害化してスムーズな歩行を助けています。

多くの人の場合、右足や右半身で重心を取っているので、右半身に起こった痛みは、過剰な衝撃波が主な原因になっている事が多いのです。

このように右股関節の痛みは「過剰な衝撃」によって発生している場合が多いのです。


3. 慢性的な「股関節痛」

外反母趾や指上げ足・扁平足など足裏が不安定になっている人は、長年悪い歩き方をしています。

悪い歩き方は(前・後)(左・右)(上・下)などそれぞれ異なる歩き方を無意識の中で行うため、骨盤や股関節にまず(1)構造学的な歪みを発生させ、そこへ歩行時の(2)過剰な衝撃波やねじれ波という介達外力を伝えることになります。これが(3)生活環境条件の中で反復され、慢性的な股関節痛になっているのです。

このように慢性的な股関節痛は、足裏の不安定から発生している場合が多いのです。


4. 変形による「股関節痛」

主に、足裏の不安定から発生する過剰な衝撃波やねじれ波に、上半身からの負荷重(体重)によるストレスが股関節内で長年繰り返され、左右どちらか歪みの多い側が変形するのです。

1回の過剰な衝撃波やねじれ波は弱く自覚することはできませんが、繰り返されると、地震の破壊のエネルギーに匹敵する程の巨大なストレスとなり、股関節内の大腿骨骨頭部分を変形させてしまうのです。

このように変形性の股関節症は、歩行時発生する過剰な衝撃波とねじれ波から発生している場合が多いのです。


5. 「先天性股関節脱臼」(先股脱)による「股関節痛」

先天性の股関節脱臼も関節の浅い女児に多くみられます。赤ちゃんの脱臼している側の股関節を開く形でおしめを当てたり、コルセットで矯正をするなどで多くの場合回復します。

しかし、問題なのは大人になってから股関節の痛みで病院を訪れ、そこで初めて先天性股関節脱臼があるといわれる場合です。このような場合、先天性というより、片側の歪みの大きい股関節に「過剰な衝撃波やねじれ波」が長年繰り返され、変形が進行し、骨頭部分が摩耗してすり減った結果、X線には写らなくなり、もとからある先天性の脱臼と診断されることもあります。また、赤ちゃんの頃の脱臼が治っていたと思っていたところへ、外反母趾・指上げ足・扁平足などの悪い足による悪い歩き方が加わって発生する場合もあります。いずれも「足裏の免震機能の低下」が原因になっているのです。

このように、成人になってから先天性股関節脱臼と診断された人は、足をよく調べて下さい。また、これによく似た大腿骨頭壊死症という病気もあるので、なにより優先して医師による診断が重要です。


6. 腰、仙腸関節の歪みと「股関節痛」

歩行時、足先の外方向へのねじれが股関節まで伝わり、股関節内にある大腿骨骨頭の位置が偏位して、骨盤や仙腸関節に歪みが起こります。その為、腰椎が不安定になり、時々の腰痛やひどいギックリ腰を起こし易くなります。特に、仙腸関節の歪み(ズレ)は左側に多く、左側の腰、仙腸関節、尾骨、そして左側の股関節にかけての「引きつれるような痛み」や「ピリピリした放散痛」を起こします。右側は腰椎の変形からくる坐骨神経の圧迫からくる場合です。

腰・仙腸関節・尾骨の痛みを伴う股関節痛は、不安定な足裏からの過剰な衝撃波やねじれ波により、骨盤や仙腸関節が歪んだ事が主な原因となっているのです。


 腰、仙腸関節の歪みと「股関節痛」