ひどい外反母趾、それはヘバーデンかも
ひどい外反母趾や急に変形が進んだ人の半数に「ヘバーデン結節」という病気が隠れています。その数は非常に多いにもかかわらず、まだ一般的には知られていないので改めて説明しておく必要があると思います。
ヘバーデン結節とは
ヘバーデンとは爪のすぐ下の第1関節が太く変形したり、骨が隆起(結節)したりする症状です。これを報告したイギリスの医師の名にちなんで「ヘバーデン結節」と呼ばれるようになりました。全体から見ると30代位からの女性に見られ、50代以降では30人に1人の割合で見られます。そして、ひどい外反母趾を訴える人の半数にヘバーデンが見られます。
それほど大変多く、そして身近な病気なのですがあまり知られていないのが現状です。症状が進むと指が横に曲り、物を取るときに突き指の状態を起こすこともあります。画像診断では関節のすき間が少なく、骨棘(こつきょく)という骨のトゲができていて亜脱臼している場合もあります。
他の指に次々と転移
急性の場合は腫れや痛みがあり半年~1年位で自然に治まると、今度は他の指に次々と同じような痛みと変形が起こり、時にはもう片方の指へも飛んで10年位で両手の全部の指が変形してしまう場合もあります。
また、ヘバーデンがゆっくり進行する場合は痛まない為気づかない人も多くいます。力仕事などをすることで痛くなり始め、気づくこともあります。通常は5年~10年位で痛みや変形の進行も治まってきますが、関節の変形は残り元には戻りません。どうして発症するのか、まだその原因についてはまだ不明です。
ヘバーデンはリウマチの軽い症状に似ている
指の関節が痛んだり変形する病気としては関節リウマチがありますが、ヘバーデンは指先の爪のすぐ下の第1関節に起こり、リウマチは第2関節や指の付け根に起きているのが特徴でヘバーデンはリウマチとは異なるものです。
この他、乾癬(かんせん)という皮膚症も考えられますが、骨の変形は起こらないので簡単に区別することができます。
足へバーデンはまだ知られていない
手に出たヘバーデンはよく知られていますが、問題なのは「足に出たヘバーデン」については殆ど知られていないという切実な現状があるということです。その為、普通の外反母趾と混同してしまい対処法を間違ったり、全く分からずほったらかしにしてほとんどがひどい外反母趾へと進行させてしまっているのです。
「ヘバーデンと外反母趾の関係」を追及していかなければ、「足と健康との関係」や「足と予防医学との関係」が分からなくなってしまい、その結果として上部に2次的障害を発症させてしまうのです。ヘバーデンは、(1)手から始まる場合と、(2)足から先に始まる場合と、(3)手と足に同時に始まる場合とがあることを知るべきなのです。初期のヘバーデンは見落とされている場合が殆どです。
急に変形する「足ヘバーデン」
足に出たヘバーデンは激しい痛みや腫れが数ヶ月続き、だましだまし過ごしていると痛みが治まるのと同じに、変形が急に進みひどい外反母趾へと進行していったという場合が殆どです。また、ゆっくり進む「足のヘバーデン」は手の場合と同じように痛みはなく、気づいたときはひどい外反母趾になっていたという事が多くあります。
通常の外反母趾と「足ヘバーデン」との見分け方
見分け方はまず、手の指にヘバーデンがあるかどうかを確認し、この他親指側、手首のつけ根(第1中手骨部)の骨が出張っているかどうかも確認します。
ヘバーデンの人はリウマチと同じように、唯一この部分の関節が亜脱臼している場合が多くあります。また、足の親指が逆にねじれていたりしています。
症状は、急性の場合は激しい痛みと腫れです。痛みがない場合はひどい変形です。
この他、天候や季節の変わり目に痛んだり、また朝歩き始めに痛み、昼間は治まるなどの症状もあります。
「足ヘバーデン」はモートン病やひどいタコの原因に
足ヘバーデンは体重が乗るので足の骨格を変形させたり、骨を破壊させるなどリウマチと同じように足指の形をバラバラにひどく変形させてしまいます。更に、変形した部分の骨を繰り返し地面に打ち付けて歩くようになると、X線上には写らない第2指のつけ根の骨が変形したり、疲労骨折を起こしたりします。同じように第4指のつけ根に痛みが起きる「モートン病」の原因にもなっています。
そこまで行かなくても足指の形がバラバラに崩れ、指のつけ根の部分が歩行時地面に多く当たるようになると中の骨を守るための防御反応として、角質層が厚くなってリウマチと同じようなひどいタコができます。
*第4指の付け根に痛みが起きた場合を「モートン病」といいます。