「自律神経失調症」の言葉は代用表現
自律神経失調症という病名は一般的に使われていますが、正式な診断名ではないのです。代用表現つまりバスケットネームとしてあいまいな表現になっているのです。
自律神経失調症状には様々な症状があり、医学的な検査をしても症状とその原因を証明するような結果は出てきません。また、同じように「不定愁訴」においても症状は様々であり、はっきりと定義付けて答えることはできません。自律神経と同じような代用表現に過ぎないのです。
厚生労働省の見解では、「自律神経失調症状」や「不定愁訴症候群」をWHOの病気の分類に従って、精神疾患の一つ「身体表現性障害」と定義する方向にあります。自律神経失調症と不定愁訴をはっきりと鑑別するのは難しいのですが、自律神経失調症状を起こす原因として国際的には自律神経になんらかの異常があり、それによって2次的に起こるとしています。また、不定愁訴の背景には確かにストレスや不安、悩みなどの精神的な問題もありますが、これも自律神経になんらかの異常が起こっているのです。私はこの両方の根本的原因を追求する中で、重要な点を見落されていると考えています。
この「なんらかの異常」とは、外反母趾や指上げ足などで足裏が不安定になってしまい、歩行時に「過剰な衝撃波やねじれ波」という破壊のエネルギーが、頚椎と頭蓋骨の接続部に繰り返され、次第に変形や微細な疲労骨折によって自律神経が傷つくのです。その為、2次的に自律神経失調症状や不定愁訴症候群が起こっていると考えているのです。
その根拠は、過去30年間の施術の中で、既に病院で自律神経失調症、不定愁訴と診断された患者さんの足を調べたところ、その95%に進行した外反母趾や指上げ足、扁平足などの異常と共に足裏の不安定があったのです。首のだるさや凝りを訴え、それと同時に3種類以上の自律神経失調や不定愁訴の症状を訴えていたからなのです。
このように頚椎と頭蓋骨の接続部には自律神経が集中しているので、骨組織の変形や微細な疲労骨折で傷つきやすいのです。そして、それはX線やMRIなどの画像診断でも見つけられないのです。
本書では、医学的に定義付けされていない様々な症状を自律神経失調症状として説明していきますが、足裏の不安定から統計的に観察し、それを忠実に説明したものです。
この問題は、医学的に解明されていないところが多いので、患者さんの様々な症状に対し適切な治療の機会を逃すことがあってはならないとも考えております。